植物は葉緑体に貯えた「たくさんのDNA」を自己分解してリン栄養を得る – 細胞内共生から生じた生存戦略
植物のDNAとリン栄養の関係 植物は葉緑体で行われる光合成によって大気中の二酸化炭素から有機物を作りますが、窒素(N)やリン(P)、カリウム(K)などの養分は、ヒトや動物のように外部から吸収して利用します。N、P、Kは植物の三大栄養素として肥料にも使われています。 リン(有機リン)は細胞内でリン酸として利用されており、リン酸を最も多く含む物質はDNAやRNAなどの核酸です。DNAは親からの遺伝情報を受け継ぐ生命の維持に必須の遺伝物質ですが、ヌクレオチドとしてリン酸を多く含むことから、DNAを分解して再利用すれば栄養素としても有効だと考えられます。たとえば、DNAの断片化は細胞死の指標とされますが、分解されることの生理的意義や、リン栄養との関連についてはよくわかっていませんでした。 最近筆者らは、植物の葉緑体に着目したところ、DNAが分解さ…
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